日本に実在した名探偵!?江戸川乱歩にも影響を与えた名探偵『岩井三郎』が解決した事件とは?

人物・過去・現在

日本には、『ミステリー・推理』をジャンルとする多くの小説や漫画が存在します。

日本で生まれた名探偵と聞くと、すぐに思い浮かぶのは「明智小五郎」や「江戸川コナン」のような有名な小説や漫画のキャラクターではないでしょうか?

そこに登場するキャラクターのほとんどは架空の人物として描かれてきましたが、実は現実の世界にも小説や漫画に匹敵するほどの人物が存在していたのです!

今回の記事では実際に日本に存在した、そして数々の難事件を解決してきた本物の名探偵『岩井三郎』についてご紹介します。

岩井三郎とはどのような人物なのか?

岩井三郎は、かつて警視庁で警察官として活躍し、日清戦争時には司法主任としてスパイの摘発に携わっていました。

しかし、彼は警察の捜査手法に限界を感じ、「もっと自由に、自分の方法で捜査がしたい」という強い思いから警察を退職しました。

退職後は私立探偵業を開業し、「岩井三郎事務所」を設立しました。

彼の事務所は企業や士族、さらには政府からの依頼も受けるようになり、彼の名は瞬く間に広まりました。

彼が解決に関与した事件には、シーメンス事件や花王歯磨密造事件、古河炭鉱詐欺事件など、重大な事件が数多く含まれています。

岩井の捜査手法は独自のものであり、彼の調査能力と諜報活動の経験を生かした方法で多くの難事件を解決に導きました。

次のセクションでは岩井三郎が関わった代表的な事件についてご紹介します。

岩井三郎が解決した事件ファイル

ファイル1:シーメンス事件

シーメンス事件は、大正時代に起こった巨大な汚職事件です。

この事件は、ドイツの大手企業シーメンスが関与する大規模な贈賄事件でした。

シーメンス社は日本海軍の高官に多額の賄賂を渡し、イギリスのヴィッカース社に巡洋戦艦「金剛」の発注をさせることを目論んでいました。

この汚職事件を解決したのが、元警察庁で諜報活動に長けていた岩井三郎です。

岩井三郎は政府からの依頼を受け、秘密裏に賄賂の証拠を集めていきました。

賄賂の証拠が公表されると、事件は瞬く間に一大スキャンダルへと発展しました。

当時の総理大臣であった山本権兵衛を含む閣僚全員が辞職に追い込まれ内閣総辞職に至る事態となり、日本の政界は大きな混乱に陥りました。

この事件は、政府高官から一般市民まで、幅広い層に衝撃を与えました。

しかし、事件の裏で活躍した岩井三郎についてはあまり知られていません。

彼の活躍により、この複雑な汚職事件は解決へと導かれました。

ファイル2:伊達家の冤罪事件

伊達家は、古くから仙台藩の藩主として知られる名家です。

1909年、伊達家当主・伊達宗敦男爵の六男である伊達順之助が、三笠錦三という人物を射殺するという事件が発生しました。

順之助は正当防衛を主張しましたが、若い頃からの暴挙ぶりから裁判所はこれを認めず、重罪を求刑しました。

そこで伊達家の顧問弁護士が、名探偵の岩井三郎に白羽の矢を立てました。

岩井は7ヶ月に及ぶ捜査で、順之助の正当防衛を立証する証拠を見つけ出しました。

三笠が先に銃を抜いた事実を示す証言を得るなど、岩井の手腕は冤罪の危機から順之助を救うことに成功したのです。

当時の伊達家は、華族の格式を保つことには細心の注意を払っていました。

しかし末子の不行跡から冤罪に陥るところでした。

岩井三郎の活躍により、子孫の名誉と格式はついに守られたのです。

順之助の罪状からは想像できませんでしたが、実は正当防衛だったことが証明されたのです。

補足:岩井三郎事務所には江戸川乱歩も在籍!?

日本を代表する推理作家・江戸川乱歩が岩井三郎事務所に在籍していたことをご存知でしたか?

江戸川乱歩は、昭和時代を代表するミステリ作家として知られています。

代表作に『明智小五郎シリーズ』があり、明智小五郎は日本を代表する偵探キャラクターとなりました。

漫画『名探偵コナン』の江戸川コナンの名前の由来になった人物でもあります。

実は江戸川乱歩、探偵小説家になる前は新聞記者をしていたのですが、ある事件の取材を通じて探偵の仕事に強い関心を持つようになります。

そこで乱歩は、自ら探偵の世界に入ろうと考えたのです。

そこで乱歩が入社したのが、明治時代から存在する伝説の探偵事務所「岩井三郎事務所」です。

当時から日本で最も有名な探偵事務所で、乱歩は2年間研修生として働いていました。

岩井三郎事務所での経験は、乱歩に大きな影響を与えました。

実際の捜査の手法を学び、プロの探偵の心構えなどを知ることができたからです。

ここでの経験が、後の乱歩の探偵小説に活かされることになったのです。

特に、岩井三郎のキャラクターは明智小五郎のモデルになったと言われています。

探偵の理想像を描くにあたり、乱歩は岩井三郎から多くのインスピレーションを得たのでしょう。

このように、江戸川乱歩と岩井三郎には深い関係があります。

日本を代表する探偵作家と探偵が、互いに影響を与え合った特別な出会いだったと言えるでしょう。

まとめ

以上、実在した伝説の名探偵「岩井三郎」についてご紹介しました。

岩井三郎は、警察を退職後、私立探偵として活躍。シーメンス事件や伊達家の冤罪事件といった当時の重大事件を自由な手法で解決に導きました。

また、彼の事務所では江戸川乱歩も研修を受けています。

乱歩の代表作「明智小五郎」シリーズには、岩井三郎の影響が色濃く出ています。

このように、岩井三郎は実在の探偵として多くの難事件を解決し、後進の探偵作家にも大きな影響を与えました。

探偵ものファンの方には、ぜひ岩井三郎の名前を知っていただきたい、実在の伝説の探偵です。

本記事が、彼への関心の第一歩となれば幸いです。

ご覧いただき、ありがとうございました。